そんなに長生きしたくない

重症アトピー&介護経験ありで地方住み実家暮らしの40代独身・微収入フリーター。
長生きしたくないけど少ない収入からこつこつ貯金……のはずが現在ソシャゲの最推しに課金中。
趣味はアニメと漫画と小説と映画と神社仏閣・美術館巡り、遠征にも行きたい。

真夜中に、いないはずの人の声がする

それは、大叔父の四十九日の前々日の話です

その日は、東京に住む大叔父の四十九日の前々日でした。


同居している両親は、
お世話になった大叔父の四十九日に参列するため、
法要の2日前のお昼過ぎに自宅を出発。


私たちは東京からかなり離れた雪国に住んでいるので、
高速を利用し、7~8時間ほどかけてやっと目的地に着きます。


両親は旅の途中、
しばらくご無沙汰だった友人宅に寄ったりしながら
休み休み行くことにしていて、
初日はサービスエリアで車中泊の予定。


長旅になるので、
道中くれぐれも気を付けるように言いながら、
「忘れ物はないよね?」と何度も確認しつつ、
東京へと発つ両親を見送ったのでした。


何事もなく夕飯時に

両親が車で遠出をする際、
高い確率で忘れ物をして取りに戻ってくることがあるのですが、
この日はそういったこともなく。


「良かった、今日は忘れ物ないみたい。
 このまま何事もなく無事に帰ってきてくれますように」


そんな風に思いながら、
ライティングのお仕事をしつつ、
頼まれた庭の水やりをしたり、
自分の分の夕食を作ったりしながら時間を過ごしました。


そして真夜中、午前2時

仕事を終えた真夜中、NHKで再放送していた、
ホラー風味のドラマ『岸辺露伴は動かない』を、
ちょっと背筋をゾワゾワさせつつ集中して視聴していた、その時でした。


私の部屋は和室で、
部屋と廊下とを隔てているのはもう大分古くなった襖です。
その襖の向こう側から少しくぐもった声で、
「ねぇ、起きてる?」
と、突然声が聞こえてきたのです。


それは紛れもなく、お昼過ぎに
父と共に東京方面へと旅立っていったはずの母の声でした。


岸辺露伴のホラー展開と相まって、
居るはずのない人の声がいきなり聞こえてきたものですから、
一瞬、心臓がドキーン!!となり。


一体何事かと物凄い速さで立ち上がって襖を開けると、
そこには薄山吹色のTシャツとブルージーンズ、
ショルダーバッグを斜め掛けした、
およそ12時間前に見送った時とまったく同じ格好の母が立っていて。


2度びっくりで思わず、
「ええっ、帰ってきちゃったの!?」
と、真夜中にもかかわらず大声を出してしまったのでした。


父、血糖値の測定器を忘れる

両親が深夜2時に帰宅したのは、
血糖値の測定器を忘れていったからでした。


父は60代後半になってから、
晴天の霹靂のように1型糖尿病を発症し、
インシュリンと血糖値の測定器が手離せない体になっています。


その父が、出立前にいつものインシュリンセットを、
いつものワンショルダーバッグにきちんと詰めているのを、
母も私もしっかり見ていました。


だからそんな大事なものを、
まさか自宅に置いたまま行ってしまったなんて思いもしなかったのです。


測定器を忘れたことに気づいたのは、御殿場のサービスエリア。
夕食を取るために血糖値を計ろうとしたら、
測定器がバッグに入っていなかったと……。


やっとのことでたどり着いた御殿場サービスエリアから、
また6時間近くかけてトンボ返りしてきて測定器を手にしたあと、
両親は休むことなく車に乗り込み、再度東京に向けて出発しました。


「休み休み行くから大丈夫よ」
と母は言いますが、見送るこちらは心配で仕方がありません。


朝になり、東京に着いたであろう頃にケータイへ電話して安否を確認。
「大丈夫よー、今、町田にいるよー」
という母の元気な声が聞こえてきて、ホッと一安心したのでした。


忘れ物は仕方ないけれど

どれだけ確認しても、忘れ物ってどうしても出てしまったりするので、
それはしょうがないことだとは思うのですが、
それでも、命にかかわるものを忘れて行くのはホント勘弁してほしい、
と心底思ってしまった出来事でした。


これまでも、
着替えなどが入ったボストンバッグを丸ごと玄関に置き忘れていったり、
スマホや財布をいつもの定位置に置いたまま、
旅行に行ってしまいそうになったことがあったりもしたので、
その辺については「何か置きっぱなしになってないかな?」と、
私もチェックすることにしていたのですが……。


まさか、念入りに確認しているように見えたバッグの中に、
大事な大事な測定器が入ってないなんて、
本当に「マジかーーーーっ!」ってなってしまいました。


これからはその辺もちゃんと見ておかないとダメですね。
まだまだしっかりしている両親なのに、
遠出する時はどうしてもバタバタして忘れ物をしてしまうようです。


私も、そういったことは時々あるのでお互い様なんですが、
本当に今回ばかりは肝が冷えたというか……。


あ、両親はもう東京から帰ってきて、
今は溜まっていた録画物を消化しているところです。
無事に帰ってきてくれて、本当に良かったです。

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