そんなに長生きしたくない

重症アトピー&介護経験ありで地方住み実家暮らしの40代独身・微収入フリーター。
長生きしたくないけど少ない収入からこつこつ貯金……のはずが現在ソシャゲの最推しに課金中。
趣味はアニメと漫画と小説と映画と神社仏閣・美術館巡り、遠征にも行きたい。

【終戦記念日】亡くなった祖母の『怖い顔』

戦争の記憶

今年は祖母の初盆です。
そして今日、15日は終戦記念日でもありますね。


終戦記念日は第二次世界大戦の終戦後、
戦没者を追悼するために制定されたそう。


お盆と終戦記念日とは特に何の関係もないとのことですが、
(そもそも、7月13~15日あたりが本来のお盆ですし)
「この世の中に偶然はない。すべては必然」なんて言葉も聞きますから、
見えない世界ではこの日でなければならなかったのかもしれませんね。


戦争について祖母に尋ねてみたことがあります

まだ小学生くらいの頃、お盆に祖母の家に帰省していた時。
戦争のことをよく知らなかった私は一度だけ、
祖母に「戦争の時ってどんなだったの?」と聞いたことがあります。


その時の祖母の答えは、
「ばぁちゃんも子供だったから、よく覚えてないなぁ」
というものでした。


ほんの子供の頃のことですから、
「そうなのかー」と思って、その話はそこで終わり。


しかし、祖母の兄は戦争で亡くなっていますし、
祖母自身も昭和一桁生まれですから、
「覚えていない」わけはないと思うのです。


きっと、話したくないことだったり、
話してもまだ分からないだろうって思われたりした結果の、
「よく覚えてない」だったのでしょうね。


祖母の『怖い顔』を見たのは子供の頃の一度きりです

祖母に戦争について尋ねた次の年のお盆にも、また帰省。
その時は祖母に付いて、畑に野菜の収穫や草取りに行っていました。


すると突然、
抜けるような青空の向こうにポツンと現れた小型の飛行機が
爆音を上げながら近づいてきて、
私たちの頭のすぐ上をものすごい速さで飛んでいったのです。
機体のお腹の部分がはっきりと見えるような近さでした。


祖母の住んでいた島でそんな飛行機を見たのも、
耳をつんざくような爆音を聞いたのも初めてのこと。


びっくりして後方に立っていた祖母を振り返ると、
祖母はそれまで私が一度も見たことのない、
とても怖い顔で空を睨み付けていたのです。


顏の皮膚の色がいつもよりひどく暗く見え、
眦(まなじり)は吊り上がり、
黒目が何故か異様に目立っていて、
ギラギラと光っているように見えました。


単なる「警戒の表情」ではない、怒りのようなものを感じて、
(ちょっと怖いな……)と思った私でしたが、
そこは子供だったので超ストレートに
「ばーちゃん、どうしたの?」と尋ね。


すると祖母は空を睨んだまま、
「……いやぁ……爆弾でも落としていくんじゃないかと思って」
と、やけにはっきりと聞こえる声で答えて。
そのあとはまた、いつもの笑顔に戻って畑仕事を再開しました。


結局、何も聞かないままでした

その後も、戦争について、亡くなった祖母に尋ねたことはありません。
多分、聞いても答えは同じ、
「よく覚えてない」としか返ってこないと思ったからです。


でも、あの時の「怖い顔」は今でもちゃんと覚えています。


祖母のあんな顔を見たのは本当にあれが最初で最後で、
戦争っていうのは、優しい人にあんな顔をさせるものなのだなと、
何より雄弁に教えてもらったような気がしています。

×

非ログインユーザーとして返信する